私オカマでした(5)

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はーい!シゲちゃんどぇ~す。

 今日は「私オカマでした」シリーズの第5話っす。

■ 再会

 翌日の夕方、マナブから奪い取った2万円を持って歌舞伎町へと向かった。時間は夜7時を過ぎていた。JR中央線三鷹駅から乗車、新宿駅で下車した。中央線のオレンジの電車は、土曜日ということもあってか意外にすいていた。それでも新宿駅はいつもの混雑ぶりだった。東口を出て歩いた。9月も終わりだというのに気温は30℃近くになっていた。歩いているだけで汗ばむ。

 ようやく「ゴールデン街」の看板が見えた。狭い路地を入った。店の前に立ち止まるとドアは全開だった。照明はついていたがカウンターに人影はない。とにかく店の中に入った。

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シゲ「こんばんわぁ・・。」

すると奥のほうから声が聞こえた。

ママ「あら!いらっしゃ~い。すいません、まだあけてないんだけど。」
シゲ「あの、お金持ってきました。全部じゃないんすけど・・。」
ママ「あらあらオニイチャン、来てくれたの?ありがとう!」

店はまだ開店前らしく、ママはトイレ掃除の途中のようで、タオルで手を拭きながら出てきた。

ママ「ごめんねぇ。大変だったでしょ。まぁそこに座って。私も休憩しよっと。あっ、ゴメンね、オニイチャン、ドアしめてくれる?蚊が入ってくるから。」

ドアを閉めた後、私はカウンターの席に座って2万円を差し出した。
ママはタバコに火をつけながら横目で私を見ていた。

シゲ「あのぉ・・今日は2万円しか払えないです。すいません。」
ママ「えーと、たしか6万円で2万円もらって今日2万円っと。」
シゲ「残りの2万円すけど、もう少し待ってもらえますか?」
ママ「えーえーいいわよ。学生さんじゃ無理もないわよ。ごめんね。」

ママはタバコをうまそうに吸った後、財布にお金をしまった。

シゲ「あの、じゃあ、オレ、これで。」
ママ「ちょっと待って、あんた学生証ないと困るでしょ?はいこれ。」

ママは財布から学生証を取り出し差し出してくれた。そして冷蔵庫から氷を出していた。

ママ「今アイスコーヒー入れるからね。」
シゲ「あの・・いいんすか?もらって。」
ママ「何言ってんの。取りに来たんでしょ?」
シゲ「はい、でもまだ残りが・・。」
ママ「いいわよ。信用してるから。」
シゲ「ありがとうございます。じゃあオレなんか手伝いますよ。」
ママ「あら、いいの?あの子達出勤おそいのよ。パチンコ屋にいるんだけどさ。」

なぜかうれしかった。仕事ってこんな気持ちでやれたら最高だと思った。

シゲ「はいっ、じゃあ床とかトイレとか掃除しますか?」
ママ「掃除は終わったわよ。トイレも終わりよ。」

シゲ「はい・・じゃあ・・・。」
ママ「そうね。あんた料理できる?」
シゲ「料理ってお通しとかすか?」
ママ「そうね。でも無理か・・。」

学生じゃろくなもんが出てこないだろうと思ったのだろう。無理もない。

シゲ「あのサンドイッチとかピザとかパスタとか・・。」
ママ「なにそれ?いろいろできるんじゃない。でもねえ・・。」
シゲ「あのオレ、ファミレスの厨房でコックのバイトしてるんす。」
ママ「ファミレス?どこ?あらそうなの。驚いた。」
シゲ「吉祥寺にあるイタリアンレストランのカプリっす。」
ママ「あらそう。あんまり聞かないわね。でも作ってみる?」
シゲ「あの、厨房見せてもらっていいすか?」
ママ「時間は大丈夫なの?」
シゲ「はい、ヒマなんすよ。朝まででもいいすよ。」

自分のどこかでスイッチが入った。カチッと音がしたような気がした。

ママ「いいけど・・じゃあ材料なければ買ってきていいわよ。はい1万円。」
シゲ「じゃあ適当に買ってきます。どんくらいすか?」
ママ「土曜だしさ、明日は休みだからね・・お任せするわ。」
シゲ「はいっ。」

厨房に入って冷蔵庫を開けて物色。もう頭にイメージを描いていた。

今日はこれで。続く・・。

→ 私オカマでした(6)

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