私オカマでした(11)

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はーい!シゲちゃんでーす。

今回は「私オカマでした」の11回目っす。この話、まだまだ序の口なんすけどお楽しみいただけてますかぁ?ま、36年も前の回想録なんで、突っ込み所満載つう感もあるんすけど、そこんとこヨロシクっす。

■ アパートで

目覚ましタイマーをセットしたラジカセから音楽が流れてきた。けだるい朝にはピッタリの曲だ。木造六畳ひと間の勝手付き、トイレ共同で風呂なし。家賃は1万8千円、それでも自分の城だった。

「ジャスト・ザ・トゥ・オブ・アス」グローバー・ワシントン・ジュニア ♪

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 ↑ 当時ベッドの枕元に置いていたマランツのラジカセ。秋葉で値切りまくって購入。それでも4万円ぐらい、重低音が最高!

 FEN,This is Far East Network...American Force's Radio. Hi,youguys,This is FEN Tokyo. I'm Casey Kasem. Gooood Morning!...Today is Sunday,We send you "All American Top40"....This weeks no.10..

 歴史的問題はさておき、当時仲間内で流行っていたのがFEN(極東放送)。元々は米軍向けの軍事放送局なのだが、最新のポップスが聴ける貴重なラジオ番組が目白押しだった。ケイシー・ケイソンの「全米ビルボードトップ40」や狼の遠吠えで始まる「ウルフマン・ジャック・ショー」などが有名だった。ウルフマン・ジャック風の遠吠えは、サザンオールスターズの楽曲「お願いDJ」にも登場している。

 日曜日の朝だった。8時をまわっていた。朝日が薄いカーテン越しにまぶしい。

 確か帰ってきたのが夜中の1時ごろだった。新宿から中央線のゲロくさい最終電車に乗り込み、駅からは最終のバスに駆け込んだ。ようやくアパートに着いた。外付けの鉄製階段を登るときはもうフラフラだったと思う。しかし久々の充実感が体に満ちていた。快い疲労感だった。そして爆睡した。

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↑ 80年代前半は、こんな感じのアパートが多かった。現在はマンションに建て替えられている。

チュン、チュン・・。(スズメかなんかの鳥の声)

マナブ「おぉ、シゲ、起きたか?」
シ ゲ「ええっ!?」
マナブ「おぉワリィ、カギ開いてたから勝手に入ったわ。」
シ ゲ「鍵開いてた?」
マナブ「おぉ、つぅかドアが半開きだったし・・。」
シ ゲ「マジかよ、やべぇ・・つか泥棒もはいんねぇか。」

マナブ「誰がこんなボロアパ-トに・・。で・・行ってきたんだべ?新宿の店。」
シ ゲ「わりっ、ちょっと水飲ませてくれ。」
マナブ「おぉ、でさ、どーだった?」

よろよろと立ち上がり、歯磨き兼用のプラコップで水を飲み干した。生ぬるい水だったが美味かった。のどが異様に渇いていた。

シ ゲ「オマエから預かった2万はママに渡したぞ。残り2万だわ。」
マナブ「おぉ、それはいいわ。でさ、昨日の夜もコージとここ来たんだけど。」
シ ゲ「そうか・・。その後、店で手伝いすることになってよ。」
マナブ「捕まったのか?ゴルゴとかに・・。」
シ ゲ「いや、ママが学生証返してくれたんで、調子こいて勝手に手伝ったんだわ。」
シ ゲ「そうか、強制労働とかじゃないんだな。じゃあ良かったじゃん。」

マナブは持ってきた缶コーラをグビッと飲み干した。

マナブ「・・女装か?」
シ ゲ「・・はぁ?」
マナブ「女装したんだべや?」

この男、やはり偏見を持っていた。いや、誰もがそう思うのかもしれない。

シ ゲ「ちがうわ!厨房でサンドイッチとかピラフ作ってたんだ。」
マナブ「なーんだ・・オメェ少し料理できるもんな。」
シ ゲ「そーそー、でもさ、オッカナビックリだったんだぜ。」

マナブ「だろーな。客も変なの来たのか?その・・ホモみたいなやつとかよ。」
シ ゲ「(笑)まぁゲイバーだけど、来たのはサラリーマンとか・・。」
マナブ「女も来たか?」
シ ゲ「そーそー、OLのカワイ子ちゃんも5人ぐらい来たぜ。たぶん皆独身だし。」

マナブ「マジかよ!!だれか紹介しろよ。」
シ ゲ「アホか、客だぜ、客。話もしてないしな。でもひとりタイプだったなぁ。」
マナブ「どんな感じの娘よ?」
シ ゲ「キャンディーズのランちゃん風の子と森昌子風の子もいたわ。」
マナブ「ランちゃんか・・オレはスーちゃん命だす。森はパス!」
シ ゲ「おめーの趣味はいいわ。」

マナブ「で、また行くのか?オレも行こうか?カワイ子ちゃんゲーット!」
シ ゲ「今度の金曜にいくわ。マナブちゃんはこねぇほーがいい。」
マナブ「やっぱ女装だべ・・。シゲはオカマになるのか・・。母ちゃん泣くべ。」
シ ゲ「アホ!マジちゃうわ!バイト代もくれるっぽいし。腕を買われたつぅとこだわ。」

私とマナブは暑くなってきた部屋を後に、バイト先のイタリアンの店に向かった。

なかなか進展しませんが、今日はこれまで。
ではまた。

→ 私オカマでした(12)

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