私オカマでした(16)

okama.jpeg
はーい!シゲちゃんでーす。

 やはり10月に入ると朝夕の寒さが違うすね。3連休の3日目、河原で芋煮会をするグループもちらほら見かけましたがさすがに3時過ぎには撤収してたっす。風もあったすからね。さてまたもや間があいてしまった「私オカマでした」の16回目。はじめまーす。この回は長くなるので2回に分けるす。

テレビがくる!(1)

 テレビ局の取材の人たちが来てから2週間が過ぎ去った。もう10月も終わりである。先週は不動産屋の鈴木さんが来てくれてママと打ち合わせをしていた。普段と変わらない店でいきますとママがしきりに言っていたのが印象深い。そしてその日はやってきた。金曜日の夜8時だった。ココナッツの香りがしている。

カランカラーン・・

店のドアが開き鈴木さんが立っていた。

鈴木「おはよう!ママ。」
鈴木さんは両手にきれいな花束を持っている。

hana.jpg

ママ「はい、いらっしゃいませ。」
鈴木「はいこれ、テキトーに飾ってください。」
ママ「あらぁ、きれいなお花、それもこんなに?」
鈴木「なんていうか、その・・花があったほうがいいでしょ?」
ママ「まぁ鈴木様、気を使わせて・・。ありがとうございます。ささ、どうぞ。」

ジェイソン「いらっしゃいませ。あらぁ、鈴木さん、私のためにぃ?」
ゴルゴ「いらっしゃいませ。アンタ、ほんと面白い子だわね。私にに決まってるでしょ?」
ママ「あんたたちこれカウンターとあっちの花瓶に分けていけてくれる?」
ゴルゴ・ジェイソン「はーい!」

鈴木「あと20分ぐらいで連中来るから。30分ぐらいで終わるそうですよ。」
ママ「このことは常連さんに言ってないんですけど。」
鈴木「ああ、そのほうがいいでしょ。」
ママ「でもお客様がいないんじゃねえ。」
鈴木「ああ、その時はスタッフが客になるそうです。」
ママ「じゃあ、その辺はおまかせしますね。」
 
カランカラーン・・

ドアが開いた。

ママ「いらっしゃいませぇ・・あら京香。」
matsuko.jpg

京香さんが立っていた。今日は青いムームーに大きな数珠(じゅず)のようなネックレスを首からさげている。ハァハァいいながら京香ママはドアを閉めた。

京香「あんた私の友達じゃなかったの?聞いたわよ。テレビくるんだって?」
ママ「ごめんね、京香。そんなつもりはなかったのよ。ただ私も初めてでね。」
京香「でさ、うちの宣伝もしてもらいたくてさ。私も参加させてよ。お願い。」

ママ「お店はどーするのよ。」
京香「ああ、ユミがいる。男にだまされたとかでグズグズ言っててさ。」
ママ「じゃあ戻ってきたの?」
京香「いくとこないでしょ。こうなるのはわかってたわ。」

ママ「わかった、その辺はあとから聞くわ。じゃあ手伝って。」
京香「え?ほんとにいいの?ママ、だからミヨちゃん大好きよ。」
ママ「もうすぐテレビ局の人たち来るって。30分ぐらいだそうよ。」

京香「あらきれいなお花!あら鈴木さんでしたか?どーも。私どこにいたらいい?」
ママ「そうねえ、カウンターの中にして、いや?」
京香「どこでもいいわよ。それと私はヘルプってことでお店も紹介して。」
ママ「そのほうがいいわね。わかった。」

 私は厨房の中で準備をしていた。お絞りも完璧だ。今日は100本はある。半分冷やして半分は蒸しタオル。鈴木さんにビールを出してグラスを拭いていた。鈴木さんはカウンター席に座って美味そうにビールを飲んでいる。

鈴木「オニイサンさぁ、どーだい、慣れた?」
シゲ「あ、はい、なんとかかんとかすね。あ、ビールおつぎします。」
鈴木「あ、ありがと。いつものサンド、今日もたのむよ。」
シゲ「はい、変わりばえしないすけど、頑張ります。」

鈴木「山本監督、知ってるんだって?」
シゲ「ええ、テレビで。でも新番組でまだ4週目ぐらいですよ。」
鈴木「夜の番組にしちゃ高視聴率なんだそうだ。僕は見たこともない。」
シゲ「フジテレビに対抗してエンタメ系のバラエティ嗜好(しこう)なんすよ。」
鈴木「え?何言ってんのかわかんないけど。」

鈴木さんはぐいとビールを飲み干し自分で注いだ。

シゲ「あぁ失礼しました。なんでもありの大人の娯楽番組ってことすかね。」
鈴木「じゃあ11PMみたいなもんかな?」
シゲ「まさにそれですね。テレ朝はお堅いイメージでしたから。」
鈴木「なるほど、世の中も変わってきたね。僕はタモリはあまり好きじゃない。」
シゲ「へぇ、そうですか。なんか今度昼帯やるらしいすよ。タモリさん。」
鈴木「なんていうかインテリ気取ってんだろ?おれはタケシのほうがいいな。」

 ママと京香さんは何か話しこんでいる。ゴルゴさんとジェイソンさんは花を花瓶に生け終わってトイレにも飾るかどうかでもめているようだ。

カランカラーン・・そしてドアは開いた。

続く・・ではまた。

→ 私オカマでした(17)

この記事へのコメント


この記事へのトラックバック