私オカマでした(18)

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はーい!シゲちゃんでーす。

雪も舞い朝は真っ暗、風はびゅーびゅー。寒いっすねえ。もうすぐ夏至、じゃない冬至っすからね。暖かくして過ごしましょうぜ。さてと超久々に「私オカマでした」の18話目っす。お待たせしました。

予期せぬ福の神

 テレビ朝日の取材ロケもなんとか無事終了した。ロケ後は皆緊張から開放されて多少疲れ気味だった。京香ママもニコニコしながら帰っていった。京香ママは収録中に8回も「スナック京香もよろしくねー!」と叫んでいた。おそらく編集でカットされるとは思っていないだろう。でもまあなんとか終わった。不動産屋社長の鈴木さんも「みんなありがとう!」といって満足げに帰っていった。今夜はこれで閉店するのかな、食材だいぶ余った、どうしようかと思ったその時だった。

カランカラ~ン・・!

店のドアが開いて中年の男性が入ってきた。

男性A「あのぉ、ここかな?ナイトビーンズ?カントクきましたか?」
ママ「あら、はい、でもお帰りになりましたけど、どちらさまで?」
男性A「じゃあロケ終了ですね?あの12~3人ですが入れますか?」
ママ「はい、今見ての通りですから、よろしければどうぞ。」

男性A「じゃあ貸切りにしてもらえます?」
ママ「貸切ですか?あのご予算はどのぐらいでしょう?」
男性A「うん、えーとね、30万じゃダメすか?午前2時までには引き上げます。」
ママ「30万円?あのウチは現金じゃないと?」
男性A「もちろんゲンキンっすよ。前金で払いますよ。酒とかはおまかせします。」

ママ「あらそうですか?でもいつ来られるんでしょ。」
男性A「ははは、みんな外でふるえて待ってますよ。」
ママ「あらま!じゃあどうぞどうぞ。」
男性A「じゃ交渉成立ってことで・・おーい!オッケー!」

男性がドアを開けて外で待つらしい人たちに叫んだ。

男性A「入って入って、OKだ。交渉成立、中暖かいぞ。」

するとぞろぞろと人が入ってきた。中年女性もいれば若い人もいる。

男性B「マジで寒いっすよ、先輩。おぉ、ここあったかーい!」
男性C「先生!貸切OKだそーっすよ。」

ママ「すいません。寒いところでお待たせして。さあどーぞどーぞ。」
ゴルゴ「ごめんなさーい。あったかいですよー、どーぞぉ。」

11月も末になると東京でも夜はさすがに寒い。ドアの外から気持ちがいいほど冷えた空気が吹き込んできた。店の中はさっきまでの人と暖房と照明機材の熱で暑いほどの熱気がこもっていたからだ。

ママ「おにぃちゃん!料理用意できる?大丈夫?えーと13名様。」
シゲ「はーい!逆に助かります。十分用意してたんで。先に熱いオシボリでーす。」
ジェイソン「あら~熱いわね。早速持ってくわね。」

テレビ局のロケ班がひけてからわずか30分後のことだった。どこかの会社の忘年会の二次会だろうか。景気のいい会社だな。それにしても忘年会には少し早いだろ。今日はこれで閉店しようかと言っていたママだったが、そこは商売人らしく気を入れなおしてテキパキと動いていた。あわてたのはゴルゴさんとジェイソンさんでどこかガッカリした表情が見えた。

トレイにグラスを用意していたゴルゴさんに若い男性が近づいた。
男性D「はーい!ボク持っていきます、これでも喫茶店でバイト経験あり!」
ゴルゴ「あらいいんですか?落とさないでね。」
男性D「まかしておくんねぇ。」

僕と似たような年の男性が、身軽にたくさんのグラスを載せたトレイを運んでいく。確かに経験者だと思った。でもなんでこの時間に予約もなしに大勢が来てくれたのだろう。予期せぬ訪問者に僕たちは多少あわてていた。お客さんたちがボックスをつないで急遽宴会場が出来上がった。

最初に入店した男性がママに封筒を渡していた。ママは、失礼しますといいながら現金を数えていた。

ママ「はい!確かに!」にっこりと笑った。
男性A「じゃあよろしくお願いします。」
ぺこりと頭を下げてボックスへ戻っていった。

 僕は洗った食器を片付けながら料理を作り始めた。若い人が多いからピザも焼いておこう。こうなると時間との戦いだ。こんな時いちばん手っ取り早いのが実はピザなんだ。もちろん定番のバゲットサンドも出そう。今日は長い夜になりそうだ。

ではまた。
→ 私オカマでした(19)

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