15の夜(シゲちゃん編)

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はーい!シゲちゃんでーす。

今日はタイトル通り、シゲちゃんの15歳の頃のお話っす。あれは中学三年の夏の夜だったっすねえ。変装して自転車に乗りお買い物に出かけたっす。とはいってもその頃はコンビニなんかないんすよ。自販機っす、自販機にある物を買いに出かけていたんす。

あれはオレが中三だった頃、夏休みに入って2日目。暑さで寝苦しい夜だった。午前2時、家族は寝静まり近所も静まりかえっていた。オレは四畳半の部屋の布団で横になりながらラジカセで深夜放送を聴いていた。

笑福亭鶴光「鶴光でおま・・イヒヒヒヒ・・カブセの色は?」
女子高生「え?えっとぉ、茶色・・キャ・・。」
笑福亭鶴光「ちゃ、茶色?イヒヒヒ、じゃあ乳頭の色は?」
女子高生「みどりいろ・・。」
笑福亭鶴光「キミは宇宙人でっか?えっ?」

当時の深夜番組オールナイトニッポン。土曜日のパーソナリティは笑福亭鶴光、一斉風靡した深夜放送を代表するニッポン放送の人気番組だ。オレは耳元にラジオを近づけて聴いていた。

さて、そろそろ時間だ。実行に移ろう。

オレは部屋を抜け出し、玄関にあったオヤジのコートを羽織った。次に爺さんの帽子をかぶり外に出た。用意しておいたカギでオヤジの古臭い自転車の施錠をといた。音を出さないように気をつけながら自転車に乗った。深夜の街に繰り出した。夏の夜のにおいがした。

行く先は決まっていた。昼に下見をしておいた。今の楊佳苑の南側にあった自販機コーナーだ。当時の米沢の中心部といっていいだろう。ファミリーデパート(現在は図書館)と市民文化会館、中央公園をはさんでジャスコ(現在はポポロ)。そして大沼デパートへと続く平和通商店街。授業を終えて部活がない日には3~4人でつるんでデパートめぐりをしていた。

夕暮れになり解散した帰り、自販機コーナーが目にとまった。いつできたんだろう。そこにはウドンの自販機とジュース類の自販機、その隣には成人雑誌の自販機があった。目的は成人雑誌の自販機。中三のオレには魅力的だった。友人は「こんなの買うやついんだべな。でも千円は高いべ。じゃあな。」と笑いながら帰っていった。

今、その自販機コーナーに向かってペダルをこいでいる中学生。でもある種、使命をもっていた。こんな夜中に成人雑誌を買うために変装までして向かっている。なにかワクワクしながら、でも不安を胸に交差点を通過した。土曜の夜で何台かのタクシーとすれ違った。あの信号を曲がると、それは、ある。
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あった!暗闇にポツンと光る「自販機コーナー」。まぶしかった。自転車を横に止めて早速成人雑誌自販機の前に立った。ゴミ箱にはうどんの容器と割り箸がいっぱいに詰まっていた。オレは財布から千円札を取り出し自販機に入れた。雑誌は千円から3千円までの値段で並んでいた。赤く点いた千円の雑誌。どれを買おう。昼間決めて置けばよかった。

「真昼の団地妻」、「堪忍や、だんな様」、「淫ら女子高生物語」

手が震えた。「淫ら女子高生物語」の赤いボタンを押した。

ギーーーガタガタ・・ガタン!

やった!本が落ちてきた。よし!オレは雑誌を取り出した。



その時だった!

ブルルルブーン、ゴーッ・・ブーンブーン。

数台、いやもっといる。ライトがまぶしい。
10人ぐらいいるだろう。オートバイの集団がこちらに向かってきた。
キーッキキー、ブレーキ音がした。
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まずい!
逃げ場を失った・・。

とっさにオレは自販機コーナーの角にある手洗い横に座り込んだ。雑誌を両手で持ちコートの中に隠した。帽子を深くかぶって体育座りのような格好でヒザを引いた。寝たふりをしよう。他に思いつかなかった。
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暴走族A「おおおお、ここだべ、うどんの自販機。」
暴走族B「かんなし腹へったぁ。おおマブいんでね?」
暴走族A「最近でぎだみだいでよ。目つけったなよ。」
暴走族C「うどんがぁ、なんぼすんなやぁ?」
暴走族B「300円だどぉ。食うべ食うべ。」

チラッと目を上げると黒い革ジャン姿の男たちが大勢立っていた。中にははちまきをしている者もいる。女性もいるようだ。複数の笑い声とともに話し声。間もなく自販機に金を入れる音がした。

暴走族D「あれ?誰かいんぞ。」
暴走族A「お?酔っ払いだべ?土曜日だがんな。」
暴走族E「おっさん、何ぼ夏でも、こがなどこだど風邪ひぐぞ。」
暴走族C「んだな、どーする?」

オレの心臓は破裂するように高鳴っていた。見つかったらやばい。

暴走族F「ほっとげ、そのうぢパトカーまわってくっぺがら。」
暴走族A「んだな、関わってもメンドクセーしほっとげはぁ。」
暴走族C「おっさん、死んでねよな?だいじょぶがぁ。」
暴走族A「いいがら、ほっとげず。」

オレ「・・・。」

30分ほどしただろうか。自販機に金を入れる音が続き、うどんのにおいがした。
「ズルズル・・案外うめなあ。」という声とともにウドンをすする音がした。
少してタバコのにおいがした。「んじゃ、そろそろかえっぺ。」

暴走族A「おっさん、ちゃんとうっちゃ帰れよ、はははは。」

ブーンブーン、ゴゴゴゴゴ。

オートバイの連中は去っていった。オイルの焼けるにおいがした。

最後まで顔を上げずに連中がいなくなるのを祈っていた。周囲は静まりかえった。おそるおそる顔を上げて周囲を見渡した。・・・誰もいないようだ。自販機の低いうなり声だけが聞こえた。オレは立ち上がった。脚が少し痛い。緊張をほぐしながら自転車にまたがった。

オレは成人雑誌を守り通した。もしあの時見つかっていたら雑誌は取り上げられていただろう。暴走族に殴られていたかもしれない。自分をほめてやりたかった。

よくやった!

自転車をこぐと夜空から天の声が聞こえた。
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シゲちゃん、青春のイチページでしたっw
ではまた。

この記事へのコメント

  • まさお君

    アホw
    2017年03月20日 13:25
  • @愛

    昔から変態だったんだね^^
    2017年03月20日 18:24
  • なめねこだね
    2017年03月21日 13:45
  • 健斗

    よくやった!www

    会話を読んでわかった。シゲちゃんは米沢人だ!
    2017年03月21日 18:46
  • 金造

    E.Tだよね。そうか、シゲちゃんはE.Tだたのか。
    2017年03月31日 19:00
  • さっぽろのトモ

    はじめまして。面白く読みました。僕も同じような経験があります。あの頃、ネットもビデオもなく唯一の情報源はエロ本でした。また来てみます。では。
    2017年05月07日 23:42

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